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特許翻訳のコラム

特許翻訳とは?仕事内容や必要なスキル・勉強方法を解説

2025年02月26日

特許翻訳に関する仕事内容から学習法までのガイド

「語学力を活かして専門的な仕事に就きたい」「翻訳の仕事に興味があるけれど、普通の翻訳ではなく、もっと専門性の高い分野を目指したい」と考えていませんか?

そんな方におすすめなのが、特許に関する文書を翻訳する専門職の特許翻訳です。

国際的な特許出願が増えている現代において、特許翻訳のニーズは高まり続けています。

しかし、特許翻訳は一般的な翻訳とは異なり、専門的なスキルや知識が必要な分野です。

未経験の方にとっては、どんな仕事なのか・自分に向いているのかといった疑問を持つことも多いでしょう。

本記事では、特許翻訳に関する以下の内容について詳しく解説します。

・仕事内容
・必要なスキル
・学習方法

特許翻訳という選択肢が自分に合っているかどうかを判断し、最適な学習・キャリアプランを考えるための参考にしてください。

 

特許翻訳とは特許関連の書類を翻訳すること

特許翻訳とは特許関連の書類を翻訳すること

特許翻訳とは、特許に関連する書類を他の言語に翻訳する専門的な業務です。

特許は国ごとに審査・登録されるため、海外で特許を取得する際には、現地の特許庁が理解できる言語に翻訳する必要があります。

特許翻訳の主な目的は、発明の内容を正確に伝え、法律的にも適切な形で表現することです。

主に特許は以下のような様々な分野で活用されており、特許翻訳のニーズも幅広い業界に存在します。

・機械・製造業
・電気・電子工学
・医薬・バイオテクノロジー
・化学・材料科学
・IT・ソフトウェア

特許翻訳者は、これらの分野に関する専門知識を身につけながら、技術的な内容を正確に翻訳するスキルが求められます。

▼特許とは

特許とは、新しい技術や発明を保護するために与えられる独占的な権利のことです。

特許を取得すると発明者は一定期間、その技術を独占的に使用・販売できるようになります。

企業や個人は自分の発明を守りながら、ビジネスに活かすことが可能です。

なお特許を取得するためには、特許庁に出願し、審査を経て認められる必要があります。

 

特許翻訳が必要な特許申請書類

特許翻訳が必要な主な書類として、以下の3つが挙げられます。

・特許明細書
・拒絶理由通知書
・拒絶理由通知書に対する意見書・補正書

特許出願には様々な書類が必要であり、全て特許庁による審査の対象となります。

国際的に特許を取得する場合、各国の特許庁が理解できる言語への翻訳が必要です。

特許明細書

特許明細書とは、発明の内容を詳細に記した書類であり、特許出願に必須の書類です。

特許庁の審査官が発明を正しく理解するために、この明細書をもとに審査を行います。

特許明細書の主な構成は以下の通りです。

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項目 詳細
発明の名称 特許の対象となる発明の名称
技術分野 発明が属する技術的な分野
背景技術 従来の技術や解決すべき課題
発明の概要 発明の目的と効果の説明
発明の詳細な説明 発明の具体的な構成や動作原理
クレーム(特許請求の範囲) 特許として保護したい範囲

 

特許明細書に誤訳があると、発明の内容が誤って伝わる可能性があるため、正確性が重要です。

また専門用語を統一し、各国の特許制度に合わせた用語を選択する必要があります。

特許明細書は、特許の権利範囲を決定する重要な書類のため、翻訳の質が特許の成立に大きく影響するでしょう。

拒絶理由通知書

拒絶理由通知書とは、特許庁が審査を行った結果、特許を付与できない理由を申請者に通知する書類です。

必ずしもすぐに特許が認められるわけではなく、審査官が特許要件を満たしていないと判断した場合、拒絶理由が記載された通知書が送られます。

拒絶理由通知書の主な内容は以下の通りです。

・拒絶の理由:特許法の規定に基づく拒絶の根拠
・引用文献:拒絶理由を裏付ける既存の技術文献
・補正の余地:修正や追加説明の可能性

拒絶理由通知書は、法律的な表現を正確に翻訳し、出願人が適切に対応できるよう明確な訳文にすることが重要です。

翻訳が不正確だと申請者が誤った対応を取ってしまい、特許の取得が困難になる可能性があります。

拒絶理由通知書に対する意見書・補正書

拒絶理由通知書に対する意見書・補正書は、特許庁の指摘に対して反論や補正を行うための書類です。

・意見書
⇒拒絶理由に対して、なぜ特許性があるのかを論理的に説明する
・補正書
⇒クレームや明細書の一部を修正し、特許要件を満たすように調整する

意見書・補正書の翻訳では、特許法の要件を踏まえた適切な言葉遣いで、主張の意図を明確に伝えることが重要です。

また、技術的な表現と法的表現の両方を正確に翻訳する力も求められます。

特許庁とのやり取りの中で翻訳が正確でなければ、特許が認められる可能性が低くなるため注意しましょう。

 

特許翻訳者になるために必要なスキル

特許翻訳は、一般的な翻訳とは異なり、以下のスキルが求められる専門的な分野です。

・独特の表現・文法を読み解く力
・特許法の知識
・技術に関する知識

特許翻訳者として活躍するためには、単に語学力が高いだけでは不十分です。

特許文書の正確な理解と適切な翻訳ができるスキルが求められます。

独特の表現・文法を読み解く力

特許文書は、以下のような通常の文章とは異なる独特な表現や文法を多く含んでいます。

・複数の修飾語が含まれた長く複雑な文章構造
・一般的な文章では使われない専門的な言葉の頻出

特に「…することを特徴とする発明」や「前記〇〇」といった表現は使われることが多いです。

特許翻訳者は、これらの表現を正しく理解し、適切な訳に落とし込む力が求められます。

特許法の知識

特許翻訳では、特許法に関する基本的な知識も必要です。

特許は国ごとに制度が異なるため、各国の法律に即した適切な表現を選ぶ必要があります。

例えば、「shall(すべき)」と「may(してもよい)」の違いが、特許の権利範囲に影響を与えることも。

単なる直訳ではなく、法的な意味を考慮した翻訳が必要です。

技術に関する知識

特許翻訳の対象となる書類には、高度な技術情報が含まれるため、特定の分野に関する技術的な知識も求められます。

特許翻訳で扱う主な技術分野は以下の通りです。

・機械工学(自動車・ロボット・精密機械など)
・電気・電子(半導体・通信技術・コンピュータなど)
・化学・材料(化学製品・新素材・バイオ技術など)
・医薬・バイオ(新薬・医療機器・遺伝子技術など)

例えば、半導体技術の特許を翻訳する場合、「トランジスタ」「ゲート電圧」「MOSFET」といった専門用語が頻出します。

技術に関する基礎知識がないと、正確な訳語を選ぶのは難しいです。

また、同じ単語でも分野によって異なる意味を持つことがあるため、分野ごとの専門用語を理解し、正しく訳す力が必要になります。

 

特許翻訳者に向いている人の特徴

特許翻訳は、技術・法律・専門表現を正確に理解する力が求められる仕事です。

そのため、以下のような特徴を持つ人が特許翻訳者に向いています。

・細かい表現の違いに敏感な人
・論理的思考力がある人
・専門分野の学習に抵抗がない人
・正確性と忍耐力がある人

特許文書では一語の違いが権利範囲を左右するため、厳密な表現が求められます。

翻訳のミスが特許の有効性に影響するため、細かい確認が欠かせません。

細かい言葉の違いや慎重に作業するのが得意な人にとっては、やりがいのある仕事となる可能性が高いです。

 

特許翻訳者に必要なスキルの習得方法

特許翻訳のスキルを身につける方法として、以下2つをご紹介します。

・翻訳学校に通う
・通信講座を活用する

どちらの方法を選ぶにしても、特許翻訳は専門性の高い分野のため、継続的な学習が欠かせません。

それぞれの学習方法にメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法を選びましょう。

翻訳学校に通う

翻訳学校では、特許翻訳に特化したカリキュラムを学べます。

講師から直接指導を受けられるため、疑問をすぐに解決できる他、実践的な課題を通じて実務に近い経験を積めます。

同じ目標を持つ仲間と交流することで、モチベーションも維持しやすいです。

一方で授業料は高い傾向にあり、数十万円かかることもある点に注意してください。

また、通学の時間や場所に制約があるため、スケジュール調整も必要になるでしょう。

翻訳学校におすすめの人の特徴は以下の通りです。

・基礎からしっかり学びたい人
・講師に直接質問しながら学びたい人
・学習のモチベーションを維持しやすい環境を求める人

対面指導を受けながら、特許翻訳を体系的に学びたい人におすすめと言えます。

「独学では不安」「特許翻訳の専門知識をしっかり身につけたい」と考えている場合は、翻訳学校で学ぶのが効果的です。

通信講座を活用する

通信講座は、都合に合わせて自分のペースで学習できる点が魅力となります。

費用も比較的安く、数万円程度から受講が可能で、インターネット環境があればオンラインで学べる講座も多いです。

ただ自分でスケジュールを管理しないと、学習が進まなくなる可能性があります。

また講師への質問の機会が限られているため、疑問が残ることもデメリットの一つです。

通信講座が向いている人の特徴は以下の通り。

・仕事や家庭と両立しながら学びたい人
・費用を抑えつつ、特許翻訳のスキルを身につけたい人
・自分で学習スケジュールを管理できる人

通学が難しい人や、自分のペースで学習を進めたい人に適しています。

「通学する時間が取れない」「できるだけ費用を抑えて学びたい」と考えている場合は、通信講座を活用すると効率的に学習できるでしょう。

 

特許翻訳に関してよくある質問

以下では、特許翻訳に興味を持った方がよく疑問に思うポイントをまとめました。

・特許翻訳の仕事に将来性はある?
・特許翻訳者の年収は?
・資格がなくても特許翻訳者になれる?

特許翻訳の仕事に将来性はある?

特許翻訳の仕事には一定の将来性があります。

企業のグローバル化により、外国特許の翻訳需要は拡大しているためです。

また高度な専門性が求められるため、代替されにくい点も理由として挙げられます。

AI(機械翻訳)の発展により、特許翻訳の一部が自動化されつつあるのも事実です。

しかしAIが全ての翻訳を担うのは難しく、人間の翻訳者によるチェック・修正が必要なため、特許翻訳者の役割は今後も続くと予測されます。

特許翻訳者の年収は?

特許翻訳者の年収は、雇用形態や経験・翻訳する言語の種類によって大きく異なります。

あくまで目安ではありますが、特許翻訳者の平均年収は以下の通りです。

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雇用形態 年収の目安
企業勤務(社内翻訳者) 約400万円~700万円
フリーランス(案件ベース) 約300万円~1,000万円以上

特許翻訳者は、経験が長いほど高単価の案件を獲得しやすい傾向にあります。

英語が一般的ですが、中国語・ドイツ語・フランス語などは比較的単価が高いです。

また特許明細書や意見書など、複雑な文書ほど報酬も高くなりやすいでしょう。

フリーランスの場合は、実力次第で高収入を得られる可能性がある一方、安定した収入を得るのは難しいという側面もあります。

ぜひ特許翻訳者に就職・転職すべきかの判断材料にしてみてください。

資格がなくても特許翻訳者になれる?

結論から言うと、特許翻訳者になるのに特定の資格は必要ありません

資格よりも翻訳スキルと専門知識の習得が最優先事項となります。

特許翻訳の実績を積み、ポートフォリオを作成しましょう。

また翻訳スクールや講座を活用し、実務スキルを高めるのも近道です。

資格がなくても特許翻訳者になることは可能ですが、特許法や技術分野の知識が不可欠なため、学習と実践の積み重ねが重要になります。

 

特許翻訳を理解し、最適な選択をしよう

特許翻訳は語学力だけでなく、技術や法律の専門知識が求められる高度な翻訳分野です。

しかし適性がある人にとっては安定した需要があり、専門性を活かして長く働ける魅力的な仕事でもあります。

今回ご紹介した特許翻訳者を目指す際のポイントは以下の通りです。

・特許翻訳の将来性は一定数あるが、AIとの共存が必要
・年収は実力次第で大きく変わる
・資格は必須ではないが、実務経験とスキルの習得が重要

また特許翻訳を学ぶ際は、翻訳学校に通うか通信講座を活用することをおすすめします。

特許翻訳を目指すかどうかは、自身の適性や学び方・働き方の希望によって決まるため、自分にとって最適な選択を考えてみてください。

 

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