2022年4月のIR英文開示について-Part3
海外投資家はどのようなIR情報の英文開示を必要としているのか
10月から3回にわたり、2022年4月に予定されている東京証券取引所の市場区分再編に伴う、IR情報の英文開示の義務化について詳しく紹介しています。今回は、東京証券取引所が2021年8月に公開した、海外投資家を対象にした英文IR開示に関するアンケート結果の要点を、先月(2022年4月のIR英文開示について-Part2)に引き続きご紹介していきます。
海外投資家は、具体的にどのようなIR情報の英文開示が必要と考えているのでしょうか。
もっとも英文開示が求められている内容は?
東証による海外投資家に向けたアンケートでは、英文開示の必要がある内容を、資料ごとに「必須」「必要」「有用」「不要」と選択してもらうための質問がありました。ここで「必須」とは、英文開示がなければ投資しない、ということを意味します。
結果から述べますと、すべてのIR資料を「必須」もしくは「必要」と選択した回答が過半を占めていました。その中でも次の3つがトップに挙がりました。
1.決算短信
2.IR説明会資料
3.適時開示資料(決算短信を除く)※1
この3つが、もっとも「必須」もしくは「必要」な項目として挙げられました。その理由は、この3つによって上場企業の業績や実際の状況等をリアルタイムで把握でき、投資をすべきかを判断するための材料にできるためです。これから、自社のIR情報を英文化していかれる企業にとっては、これらが優先して取り組むべき項目であることがわかります。
※1 適時開示資料とは、上場会社が義務付けられている「重要な会社情報の開示」のこと。たとえば、決定事実(取締役会での決議等)、発生事実(災害、事故、訴訟等)、決算情報などがあります。
そのほかに英文開示が求められている内容は?
上記3つの資料以外に、以下の6項目も多くの投資家が「必須」または「必要」と考えています。
・有価証券報告書
・アニュアルレポート
・株主総会招集通知(招集通知、参考書類)
・株主総会招集通知(事業報告、計算書類)
・コーポレートガバナンスに関する報告書
・ESG報告書※
財務情報は投資のための分析に必要であるため、有価証券報告書、アニュアルレポートが4位、5位と続きました。有価証券報告書、アニュアルレポートについては、機械翻訳で理解するのが特に困難であるため英文開示が必要であるとの意見も見受けられました。
そのほかのIR資料は以下のとおりです。これらは上位には挙がらなかったものの、多くの投資家から英文開示を求められている内容ということは変わりありません。
・株主総会議決権行使結果
・中期計画その他の長期戦略資料
・支配株主に関する事項
・気候行動計画
・統合報告書
・報酬及び人事ポリシー
・定款
・株主総会議決権行使結果
・決算説明会の議事録
・決算説明会や株主総会等の議事録
※2 「ESG」とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉です。
翻訳はプロの翻訳会社へ
今回の翻訳コラムでは、2022年4月のIR英文開示PART3ということで、東証が行った英文開示の現状調査から読み取れることをまとめました。多くの投資家が、すべてのIR情報を英文化してほしいと願っています。ただ、最初から全情報を開示するのは大変である場合には、もっとも求められている情報から優先的に着手していくことをおすすめします。つまり、決算短信、IR説明会資料、適時開示資料の英文開示をまずは優先して取り組む必要があります。徐々に、有価証券報告書、アニュアルレポート等も開示していくと良いでしょう。
東証では2022年4月に市場区分の見直しが予定されていますので、その時期を目指して徐々にIRの英文化を徹底していくことをお勧めします。IRの翻訳を外注する際には、日本および現地のことばと法律を十分理解し、文脈をきちんと把握できるプロの翻訳会社への依頼がおすすめです。翻訳会社JOHOでは、長年英文IRに携わってきた経験があり、企業のさまざまな情報を英文化するサポート体制が整っています。
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