2022年4月のIR英文開示について
コーポレートガバナンス・コードとは
2015年3月、金融庁と東京証券取引所は、上場企業が守るべき事項を示す、コーポレートガバナンス・コードを策定しました。コーポレートガバナンス・コードの適用は2015年6月より開始され、2018年に一度目の改定を経て、2021年6月に新たな改定の取りまとめが行われました。各上場企業はその各原則を随時適用する必要があり、最低でも2022年4月4日以降に開催する定時株主総会後にコーポレートガバナンス報告書の提出が求められています。
今回は、コーポレートガバナンス・コードの改定のポイントと、その中の1項目である、英文でのIR開示の必要性について解説します。
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改定のポイントは?
今回、コーポレートガバナンス・コードの改定を行うことになった背景には3つの理由があります。1つ目は、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響により、企業のコロナ後の戦略や対応が求められるようになったことです。2つ目は、近年叫ばれているサステイナビリティと気候変動に対する企業への取り組みが、さらに求められる時代となったこと。3つ目は、2022年4月より、東京証券取引所の市場区分が、3つの新区分へと再編されることになったからです。
東京証券取引所の新たな3市場区分とは、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場です。今回のコード改定では、この中でも、最も多くの投資家による投資対象となる、プライム市場に当てはまる企業の「より高いガバナンス水準」に関するいくつかの指針が新たに加えられました。
また、企業のIR担当者にとって非常に重要となるのが、コーポレートガバナンス・コードの補充原則3-1②で追加された、英語での情報開示を行うべきである、という項目です。以下に補充原則3-1②を引用します。
「上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである」(コーポレートガバナンス・コード補充原則3-1②より引用)
この原則を企業は、遅くとも2022年4月には適用する必要があります。早急に、自社サイトのIR英語化を図る必要性があります。
英文開示が必要な内容とは?
2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改定により、上場企業の情報を英語にて株主に対して開示するべきであるという補充原則が追加されたことをご紹介しました。では、どのような内容の情報を英文で開示するべきなのでしょうか。以下に例をご紹介します。
・決算短信
・決算説明会資料
・株主総会招集通知
・有価証券報告書
・コーポレートガバナンス報告書
・プレスリリース
・会社案内
・アニュアル・レポート
・ファクトブック等
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今回の翻訳コラムでは、コーポレートガバナンス・コード改定についてご紹介し、中でも英語でのIR情報の開示が必要となる点について重点的に説明しました。現在、多くの上場企業が、英語での情報開示を急いでいる状況です。どの企業も、そのサイズに関わらず、海外の顧客・投資家に向けて、英語でのIR開示の備えが早急に必要なのではないでしょうか。
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