特許翻訳で知っておきたいPCT(特許協力条約)
特許翻訳で知っておきたいPCT(特許協力条約)とは?
これまでに「特許」というものを取得したご経験はありますか?
「特許」とは、自身の発明について、第三者からその内容を模倣されないよう、独占権を主張するための法律的な手続きです。
もし自分が世界的な発明を生み出したとしても、その内容を誰かにそのまま流用されてしまえば利益を得ることが難しく、大きな損失となってしまいます。
今回は、国内だけでなく世界に対して自らの特許権を主張する際に、重要とるポイントにについてご説明します。
1. そもそも特許とは?
特許の仕組みを正しく把握するために、まずは国内における出願について知っておかなくてはいけません。
日本国内において、特許を取得するためには特許庁に対して、決められた書式で記載した書類を提出し、審査を依頼することが必要です。
この書類というのは、大きく分けると2つの内容から成り立っています。
1つは、自分自身が特許権を持っていることを主張するための『特許請求の範囲』を示すものと、それを担保するための説明書とも呼ぶべき『明細書』です。
自身の発明を言葉で説明し、その正当な権利を主張する『特許請求の範囲』の部分については、他の法律文書と比べてもかなり特殊なものであると言えるでしょう。
よく誤解されがちなのですが、「特許権」というのは、厳密にいうと国際的な権利ではありません。
日本国内に限って言えば、国内の誰かが特許を取得してしまえば、その発明を無断で模倣することは禁止されています。
ですが、これが国外で取得された特許だった場合には、その限りではないのです。
つまり特許権というのは、世界各国の審査機関によってそれぞれが認可するものであり、1つの国で認められたからと言って世界中の誰からも模倣される心配がなくなるわけではないということ。
諸外国に対しても自身の発明の権利を主張したい場合には、それぞれの国に対して「特許の申請」を行い、認可を受けなければならないのです。
2. 国際的な特許とPCT
グローバル化が進む昨今においては、国際的な取引を検討する国の数も増加しています。
国によって申請書類の書式だけでなく、使用される言語も異なりますから、自力ですべての国の申請を行うことは難しいかもしれません。
それが可能であったとしても、特許というものは原則として先に申請したものに認可されるので、のんびりと翻訳して出願していたら、その間に第三者によって先を越されてしまう危険性もあるのです。
そんな状況を打破するためには、PCT(特許協力条約)と呼ばれる条約を用いるケースが増えてきています。
これは特許に関する国際的な取り決めで、このPCT加盟国のうちの1つに特許の申請を行った場合には、すべての加盟国で特許の「国内出願」が行われたとみなされるという条約なのです。
現在このPCT加盟国は150カ国を超えており、日本国内における特許の出願さえ果たしてしまえば、その150カ国すべてで先を越される心配がなくなります。
また、この時点での書類は日本国内の書式で作成されたもので問題ありませんから、日本語もしくは英語の特許申請書を作成してください。
このように、特許協力条約というのは、世界中の諸外国に対して特許申請を行う際の手続きを円滑に行うための条約となっているのです。
3. PCTで気をつけなければいけないことは?
この特許協力条約(PCT)を活用する上で最も気をつけなければならないのは、これはあくまでも「国内出願」が行われたとみなされるだけであり、実際の審査を受けるためには加盟各国に対して再度それぞれの書式、言語に翻訳した書類の提出が必要になることです。
また、審査基準なども異なるため、仮に日本国内で認可が下りたからと言っても、別の国でも同様に受けられるとは限りません。
提出内容に不備があれば当然書類の差し戻しが行われますし、それに対する返答も必要になってきます。
また、特許協力条約によって優位性が認められている期間は、国内での申請日から30カ月間と定められています。
もし万が一この期日に間に合わなかった場合には、その間に申請していた第三者によって権利が奪われてしまうようなケースすら起こりうるのです。
この特許協力条約以外にも、特許に関する国際的な取り決めを定めている条約が存在します。
しかし、これも特許協力条約と同様、最終的には特許書類の申請が必要になるため、日本国内での申請用に作成した特許申請書をそれぞれの国の書式・言語へと翻訳しなければなりません。
4. 専門的な翻訳が必要な場合は・・・
こうした特許に関する翻訳には、他の分野の翻訳作業とは異なるスキルが要求されます。
この特許申請書というのは、法律関係の公式な文書です。
そのため、基本的には意味を汲み取り、前後の文章を繋げるために行う「意訳」は歓迎されず、書かれている内容をそのまま端的に訳していく「直訳」のスキルが求められるということです。
また、同時に自身の発明の特許に関する書類でもあるので、その内容には各分野の専門用語や造語なども、当然のように存在しているでしょう。
つまり、特許の申請書を完璧に翻訳するためには、各国の法律知識、言語の翻訳スキルのほか、その分野に対する専門的な知識も併せ持っている必要があるのです。
ここでオススメしたいのが、こういった諸外国に対する特許の申請の際には、翻訳会社に依頼しましょう。
翻訳会には翻訳社だけでなく、こういった特許関連の翻訳や、専門的なマニュアル文書の翻訳を行う必要があるために、それぞれの分野に対する専門のスタッフが配属されています。
つまり「特許の完璧な翻訳に必要な要素」のすべてを兼ね揃えていますから、翻訳会社に依頼すれば、特許協力条約の猶予期間内に申請することができるでしょう
世界的な特許を取得し、大きなビジネスチャンスをものにするためにも、特許関連の専門家がいる翻訳会社にご相談ください。
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