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翻訳マネージャーコラム

抽象的表現の英語翻訳の難しさ

2017年08月23日

歌詞・詩など抽象的な英語文の翻訳

いわゆる洋楽を聴いていると、英語で歌詞が流れてくるメロディーラインに聴き入ってしまいます。
シェイクスピアの日本語翻訳を読んで、自分も英語を徹底的に勉強し、原文を読んでみたい、なんて学生時代に思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、歌詞や詩などの抽象的な文章の翻訳は思った以上に難しいものです。
なぜならば、英語で書かれた歌詞や詞の翻訳には、学校の教科書やテストのように明確な「答え」が用意されていないからです。また、その他にも法律的問題が絡んでくることがあります。
では、歌詞や詩の翻訳はなぜ難しいのでしょうか?

1. 歌詞も詩も翻訳文が全く違っている?

まず歌詞、そして詩というものについて考えてみましょう。
そもそも歌詞というものには句読点がありません。音楽に合わせることを最優先して自然ではない表現で書かれています。それは、わかりやすさよりも情緒を重んじているためで、一般的な文章と比べて意味がつかみにくかったりします。
特に、韻を踏んだりする場合は、当然のことながら韻を優先するので、なかなか歌詞全体として意味が通らないものになっていることも少なくありません。
これは当然、英語で歌われている歌のみに限ったことではなく、日本の歌手が歌う日本語の歌詞も同様です。

訳詞の場合は、原文を理解する能力が必要なのもさることながら、作詞の能力もないといけません。全く英語を知らない人が、日本語に翻訳された歌詞カードを見ながら、原文の歌詞を聴いて味わう感動と同じ感動を味わえるような対訳文を書く必要があります。
それには、単語の選び方ひとつから、字面も大事になってくるのです。
日本語でも、歌詞を見ると音を優先していて、言葉自体にあまり意味がないように感じる曲はたくさんあり、そういった特徴が顕著なアーティストもいっぱいいます。著名なところでは、日本だとサザンオールスターズがいい例でしょうか。
その一方で、サザンオールスターズの曲を英語でカバーしたCDは存在します。
しかしその曲を聴いてみると、メロディーラインも微妙に違いますし、原曲の日本語とは意味がまったく異なる歌詞になっていたります。
それだけ、歌詞を翻訳する場合は、原曲の日本語とは異なる内容に変更されていることがあるのです。その中身である詩自体に変更が出てきているということです。

そのため、他の分野の翻訳経験のある人でも、なかなか訳詞はできないもの。
時には本物の作詞家が、翻訳に起用される場合もあります。自分で作詞も手がけているミュージシャンがが、英語の歌詞の日本語対訳を作ることもあるわけです。
こうして見てみると、歌詞や詩の翻訳が、直訳も意訳も難しい世界だということがよくわかります。

2. ミュージカルの歌の翻訳は最も難しい?

歌詞や詩は、これだけ翻訳が難しいものですが、さらに難しくなるのがミュージカルに登場する曲の歌詞です。
海外ミュージカル映画における日本語版歌の歌詞は、正確な和訳にはなっていないことが多いのです。
おそらく学校のテストで翻訳文として提出したら、正解とは認められないものばかりでしょう。

まず英語と日本語では、一小節に歌える文字数に大きな差があります。正式な和訳のまま歌おうとすると完全な字余りになってしまい、歌詞が小節に収まらなくなってしまいます。
そこで日本語では、可能な限り原詞やその意味に近づけつつ、どうしても原文訳にできないところを別の歌詞に差し替えている……というよりも「差し替えなければならない」という問題に直面してしまうわけです。
原文のとおりに翻訳できないということは、詩が変更されてしまうということ。
日本語版シェイクスピアのミュージカルでは、本来シェイクスピアの詩が含んでいる意味合いや背景が、3分の1程度しか伝わらないという声もあるほどです。

3. 歌詞の翻訳には法律の落とし穴も・・・

さて、歌詞や詩の翻訳ですが、自分が家でひとり楽しむ分には問題がありません。インターネットで歌詞の翻訳文を調べると、そのまま自身のブログに掲載している人も見かけます。
実はこの行為、著作権法上「複製権侵害」「公衆送信権侵害」となります。つまり、これらの行為は著作権侵害であり違法です。
歌詞の翻訳文をインターネット上に掲載する、つまり著作物を不特定多数の目に触れるインターネットという環境に載せるのは、「個人的に楽しむ」という範囲を超えているのです。

よくインターネットで翻訳文を載せているブログをみていると、「著作権侵害というご指摘があれば、当記事は削除します」という文章が掲載されていますが、なかには気が付かないうちに、いつの間にかブログ自体が閉設されているケースもあります。
仕事で歌詞や詩の翻訳を行うには、この点にも留意しておく必要があるでしょう。

4. 歌詞や詩の翻訳はプロの翻訳会社に

このように、歌詞や詩の翻訳は、とても難しいものです。
さらに法律的問題が絡んでくるとなると、石橋を叩いて渡るように慎重に取り組まなければならないでしょう。
プロの翻訳会社には、文芸翻訳に特化した人たちも登録していると同時に、法律分野の翻訳にも強い、法律の専門家もいます。
歌詞や詩を自分で翻訳した結果、なんだか意味も伝わらない……さらに法律面で問題ないか、違法になっている部分はないかとチェックをするのは非常に難しいものです。
プロの翻訳会社であれば、この問題をまとめて解決することできます。それこそが翻訳会社を利用する最大のメリットではないでしょうか。

プロの翻訳家は、翻訳する英語の歌詞や詩の背景を考え、一人称は「俺」なのか「私」なのか「僕」なのかなんて細かいところから、すべて翻訳していきます。結果、翻訳文として完成度が高くなることは間違いありません。
仕事で歌詞や詩の翻訳が必要になった場合は、自分一人だけでやろうとするよりも、ぜひプロの翻訳会社にご相談ください。

お見積もりは無料です。お気軽に翻訳会社JOHOまでお問い合わせください。

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