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翻訳マネージャーコラム

英語の教科書における目的とは何か

2017年08月09日

英語の教科書・テキストにまつわる翻訳

現在の日本では、小学生から英語の教科書に触れ始めます。
英語をはじめとして、外国語をすんなり理解できるようになるためには、教科書やテキストといった教材を作り込むことが必要不可欠です。
そのためには、教材によって、何を目的として教育していくのかを議論しなければいけません。
教科書やテキストの翻訳がどのようなものになっているのか、そして実際に使うべき英語との差異をご紹介したいと思います。

1. 学校英語の「翻訳」の目的を知る

英語のテキストを作るときに何を目的として、その文章を作成していくかが大切になっていきます。
日本の学校英語では、ライティングとリーディングの能力を高めようとしていることは、中学・高校の勉強、特に大学受験において顕著に感じられるのではないでしょうか。
一方で、「実際に話すこと」については、全くといっていいほどテストにはならない。
これは日本における英語教育が、大学受験を主な目的としてきたためかもしれません。

一人ひとりの英語力をある一定の基準によって図り比べるためには、その基準を「文章構成が正しくあるか?」「間違った英単語を使っていないか?」「語彙力は高いか?」といった点に絞らなければいけないのでしょう。
そのため、学校教育においては、いわゆるネイティブが使っている英語の話し方まで伝える必要がなかったのかもしれません。
なかには、学校で意訳をしすぎると、間違い(減点対象)とみなされてしまうこともあるようです。
「何となく意味がわかる」「こんな雰囲気の言葉を言えば、ある程度伝わるのではないか?」という「会話」の部分は、文章題においては排除されてしなければならないのでしょうか。
かといって、単語と文法に大きく依存した英文和訳は、決して「悪訳」ではないところも、日本の英語教育において難しい部分です。

2. 「What is your hobby?」にみる学校英語

英語で「あなたの趣味は何ですか?」と聞くときに、その訳は「What is your hobby?」だ考える人が大多数ではないでしょうか。
 実際、多くの学校では「あなたの趣味は何ですか?」という英文を作りなさい、という設問に対しては「What is your hobby?」と書くように指導されるとのこと
しかしこの文は、ネイティブの人にはニュアンスが伝わらない可能性が高いのです。

実は、英語で「hobby」は特殊で、一般の人がやらない趣味を指します。
「hobby」とは、自発的に行うもので、かつ知的生産なども同時に行われるような、高尚な「趣味」なのです。
たとえば、昆虫採集、古銭収集など“マニア”と呼ばれるような趣味のことです。スポーツや読書など、ごくありふれた趣味として通じるものは「hobby」にはなりません。
この日本語の「趣味」という言葉の意味の広さが、英語に変換したときに違った意味合いになってきてしまうのです。

よりナチュラルにネイティブの人に理解を得やすい「あなたの趣味は何ですか?」という英文は、次のようなものです。
「What do you do in your free time?」
しかし、上記のとおり学校では「What is your hobby?」と書くように指導されます。そこで、テストで「What do you do in your free time?」と回答したら、ひどい場合、ゼロ点になりかもしれません。
このように、学校英語とネイティブが話す英語は、乖離している部分もあるのです。

 

3. 技術英文の観点から考えてみると…

技術英文というものがあります。一種の技術文書で、その目的は『他人に何らかの情報を伝えることを目的とした文書』です。

① 要点が明確かつ具体的
② 読者に伝えるべき事項で構成する
③ 見出しで要点を伝える
④ 見出しを段落で構成する
⑤ 段落を主文と補足文で構成する
 

このようなポイントに基づいて文章を作るものを「技術英文」と呼びます。
そもそも、翻訳者とはどういった仕事なのでしょうか?
一言で言うと、言葉を扱う仕事です。先ほどの「What is your hobby?」を例にとれば、こうした日本語と英語のニュアンスの違いを、文脈に合わせて正確に表現する仕事です。
翻訳者の仕事は、ただ言語を変換するだけではありません。その言語のネイティブの人が聞いて、すんなり理解できるように文章を組み立てなければいけないのです。
そして、もちろん文章の校正・校閲の作業ができなければなりません。英語の翻訳者に関していうと、翻訳者としてのスタートラインは、英検1級を取得し、かつTOEICの点数が900点以上といわれるほど、そのハードルは高いものとなっています。
それほどの英語力を持っているからこそ、学校英語の知識だけではありえない、より自然な英文を作ることができるのです。

また、翻訳の仕事はその正確性が問われる仕事です。
「教材の翻訳」も、中学校・高校の英語教育のための教科書を翻訳することだけが、教材の翻訳ではありません。
より自然な英会話を行うための教材には、「What is your hobby?」は載せないかもしれません。
翻訳者はその目的に応じて、自身の知識を駆使して翻訳文を作り上げてます。その文章を作り上げていく作業は、まさに職人技なのです。

4. 教科書の翻訳を翻訳会社に依頼する

翻訳者の仕事は、企業間の契約書などの民間事業から、学術論文、医学論文といった専門性の高い文章を和訳、英訳することまで多岐に渡ります。
目的に応じて、その目的に応じた翻訳者に翻訳をお願いすることは重要です。翻訳者も人間なので、得手不得手があります。
翻訳者は学校英語に応じた、翻訳文を作ることもできるでしょうし、技術英文に適した翻訳文を作ることもできるでしょう。
しかし、その文章を作り分けることができるのは、やはり高度なレベルで、その翻訳作業を行うための英語を習得した翻訳者にしか成し得ないこと。

たとえば、会社で重要なマニュアルやテキストを作成するときは、そのマニュアル。テキストの意図もわかるようなものにしなければならないはずです。
上記のような直訳すぎるの英語では伝えきれないニュアンスも、翻訳者は適した翻訳文で、異文化同士の架け橋に変えてくれることでしょう。

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