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翻訳マネージャーコラム

漫画の英語翻訳にはプロの力が不可欠

2017年05月16日

漫画の英語翻訳にはプロの力が不可欠

近年、日本の「漫画」は日本文化を代表するジャンルとなっています。
昔から日本でも人気のある『ドラえもん』を筆頭に、『ONE PIECE』、『ドラゴンボール』、『NARUTO』、『コナン』、『進撃の巨人』などの少年漫画。さらに『花より男子』などの少女漫画も幅広く流通しています。
最近では『テラフォーマズ』や『東京喰種』などの青年漫画も、海外でよく読まれるようになりました。
また、紙の印刷物も発売されるだけでなく、デジタルコンテンツをダウンロードし読まれるケースも増えてきています。
もちろん、日本の漫画を海外で販売する場合は、日本語のまま発売しているわけではありません。英語圏であれば英語に翻訳してから販売します。漫画は絵だけでは楽しめません。セリフも重要な要素を占めています。
小説と比べて漫画は、文字量は圧倒的に少ないですが、実はその翻訳には、漫画ならではの翻訳技術が要求されるのです。

1. 漫画ならではの翻訳技術とは?

漫画を翻訳する際、その対象となるのは主に、セリフの吹き出しと効果音です。
ただ、ひとくちに翻訳といっても、漫画の翻訳には、他のジャンルと大きく異なる点があります。
それは「写植」です。

Wordなどのワープロソフトで作成された文書を翻訳する、あるいは英語で書かれた文書の翻訳文をワープロソフトで打ち込む場合は、一般的な翻訳技術が求められます。
しかし漫画の吹き出しや効果音の部分は異なります。
以前は作者が原稿に直接セリフや効果音を書き、そこに文字を貼り付けて、印刷されていました。これを「写植」といいます。
写植も専用の機械を使っていた時代から、現在はパソコンを使って処理するようになりましたが、それは漫画も同様です。吹き出しにもPCを使って文字が打ち込まれるのです。

とはいえ、日本語の漫画を英語に翻訳する場合、ふたつの問題があります。
ひとつは吹き出しのサイズを変更できないこと。日本語が書かれている吹き出しのスペースに合わせて、セリフを英語に翻訳しなければいけません。
日本語と英語の翻訳だと、同じ意味を表す文章や単語であっても、どうしても文字数や文章量に差は出てきます。そのため、映画の字幕や吹き替えと同様の翻訳技術が求められます。

もうひとつ、日本のコミックの多くは文字が縦書きで書かれ、右から左に読みます。一方、英語はもちろん横書きで、左から右へと読んでいきます。
そこで日本の漫画を英語圏に向けて翻訳する場合、左から右へと読み進められるよう反対にする(裏焼き)ことが多く、吹き出しの流れもこれで解決されます。
ところが、吹き出しの外にある効果音は、そう簡単にはいきません。縦書きで作られている日本語の効果音を、横書きの英語にどうやって書き換えるか。
漫画は絵と文字を組み合わせて作られているものです。そのレイアウトを崩すことは難しいので、いかにしてその作品が持つ視覚効果を失うことなく、文字を翻訳していくかが、漫画の翻訳にとって最も重要なポイントだといえるでしょう。

2. 翻訳者に求められる「表現の引き出し」

日本語を英語に翻訳するためには、様々な表現方法があります。
同じ動作・感情を表すにも、多種多様な単語があり、文章=文法自体にも工夫が必要な部分が多々あるのです。
翻訳とは、単に意味が伝わればいいというわけではなく、その漫画の世界観や主人公の性格、感情、そしてストーリーの構成まで踏まえたうえで翻訳しなければなりません。
プロの翻訳家は、言語が違っていても、キャラクターの口調などはその漫画の世界観に合わせて翻訳します。
特に、日本の漫画のセリフは表現が曖昧なものがあります。
たとえば、「……」などを英語で表すのは大変ではないでしょうか。英語には動詞を省略した文章がないからです。

作品の魅力をあますことなく海外の人たちに伝えるには、翻訳する側の「英語表現の引き出し」が多くないと難しいでしょう。
漫画の場合、ストーリーに登場するのは人間だけではありません。ファンタジーの世界では妖精や魔獣、妖怪や悪魔などいろいろなキャラクターが登場します。その特徴を踏まえた表現も必要です。
「漫画は絵があるから、ニュアンスが伝われば十分では?」といったように考えていると、作品の価値は大きく下がってしまいかねません。それでは読者も納得しないでしょう。
漫画の翻訳とは、たとえプロの翻訳家であってもその漫画をしっかり読みつくし、世界観を共有していなければ、理想的な翻訳は難しいかもしれないという、奥の深い世界なのです。

3. セリフの翻訳だけを期待しているわけではない

かといって、漫画の世界観をしっかり反映させた翻訳を行えば、全て大丈夫なのでしょうか?
もちろんその翻訳によって、作品を楽しむことはできるでしょう。
ところが、最近の海外の読者は、コミックに他のサービスを求めています。
日本で作品を発表する漫画家は、当然ですが日本人に向けて作品を作っています。そこには、「日本人だからこそ伝わる」内容があります。
そのほとんどは、日本独自の文化です。
そこで海外の漫画ファンはセリフや効果音だけでなく、別の部分の翻訳にも期待を寄せているようです。
それは「注釈」です。

漫画のストーリーの背景。
漫画に登場する物がいったいどんなものなのか。
どのように日本で使われているのか。
なぜそのような風習・習慣が日本にはあるのか。
そういった日本の文化を説明する注釈も、海外のファンにとっては楽しみにしているところでしょう。
そんな日本独自の文化を理解してもらうことで、本当の意味で漫画の世界観が海外の人たちに伝わるのです。

4. 海外で愛される作品になるためには……

英語力に自信があるからといって漫画の翻訳ができるとはかぎりません。
最近では漫画の翻訳を専門に行う翻訳者や翻訳会社も増えています。サービスはそれぞれ異なりますが、それほどプロの翻訳技術が求められる分野であるということでしょう。
こうしたプロの翻訳者の技術によって、漫画は日本を代表する文化となり、海外のファンに愛される作品となっていくのです。
だからこそ、漫画翻訳の技術や経験が不足している翻訳者・翻訳会社に依頼すると、望むような成果を得ることは難しいともいえます。
漫画の翻訳を依頼したい方は、ぜひ翻訳会社のホームページなどで確認してください。

お見積もりは無料です。お気軽に翻訳会社JOHOまでお問い合わせください。

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