事業報告書の翻訳の注意点
事業報告書の翻訳はここに注意!
国際化が進む現代社会において、海外資本の日本法人や外資系企業は、すでに珍しいものではなくなりつつあります。
そんな傾向に伴い、これまでは国内でのみ使用されていた様々な書類に関しても、諸外国に提出しなければならないケースが増えています。
特に、企業の運営指針ともなる財務諸表や事業報告書については、概要だけでなく細部まで翻訳が求められてきているでしょう。
ですが、こういったビジネスにおける金融関係の書類の翻訳には、注意しなければならないポイントが数多く存在しているのです。
1. 海外企業へ自社資料を提出するためには
まず、海外の取引先やクライアントに対して自社の運営状態を報告する場合、どのようにしてその資料を作成するでしょうか?
多くの場合、まずは元となる日本語版の資料を入手、あるいは作成し、そこから取引先企業が使用している言語へと訳していくことになるでしょう。その多くは英語です。
ここで問題になるのは、果たして諸外国に対する資料として、日本語版に記載されているデータをまとめていくだけで十分なのかどうか、ということです。
そもそもビジネスにおける書類というものは、書式が決まっていることが多いものです。
国内においては事業規模の大小に関わらず、「決算報告書とはこういうものだ」という共通認識があるでしょう。
ですが、それが国を越えての取引となると、話は大きく変わってきます。
国が違うと言語=公用語が異なる場合も多いのですが、それだけではなく国によって風土も歴史も違うため、そこに暮らす人々の文化も価値観も異なります。
そのため、あらゆる国で同じ事業を展開していたとしても、国によって重要視しなければならないデータが異なる場合もあるのです。
たとえば、前年度と今年度の売り上げを比較して、その収益が増加していたら喜ばしいことです。しかし、その内容も重要視しなければいけません。
収支のデータを提出する場合、市場全体の売り上げ規模はどの程度増加しているのか、その結果自社のシェア率はどの程度なのか、といった収支の内容がわかる資料が求められます。もし資料としての体裁を保っていない、不十分なものであれば、相手に受け入れてもらえないことも考えられます。
そこで、提出する資料を作成する場合には、まず先方が求めているデータがどんなものなのかを把握したうえで、さらに海外企業との取引では、その国の書式に合わせた形での翻訳が必要になってくるのです。
また、資料の提出先が海外の企業だけとは限らないでしょう。
昨今では、IR資料と呼ばれる投資家向けの説明資料の重要性も高まっています。
このなかには決算関係の書類はもちろんのこと、今後の事業計画や有価証券の報告書や経営陣の組織図、アニュアルレポートなど、様々なものが含まれます。
現在投資を行っている方にくわえ、将来的に投資を行ってくれるかもしれない投資家に対しても、これらの資料は非常に大きな意味合いを持っています。
同様に、これらの資料の分かりやすさや内容の正確さというのは、年々その重要度が高まっているといえるのです。
2. 国によって表現方法が異なると……
金融関連の書類を英語に翻訳する際には、どのような部分に注意しなければならないのでしょうか?
「資料の分かりやすさ」という意味では、実は同じ英訳を行うにしても、地方によって大きな差異が生まれてくることがあります。
英語圏のなかでもアメリカ、ヨーロッパ、北半球、東南アジアそれぞれの地域には異なる文化が存在し、ローカルな表現も数多く存在するのです。
それらを全て適切な形で翻訳するためには、一つの単語について各国の「標準語」をリストアップする必要があるでしょう。
もちろんこの作業を省いて、最も一般的な表現を用いるのも方法のひとつです。
ですが、その場合には情報のニュアンスなどの細部が伝わりづらくなるため、口頭で説明を行うか、補足を入れるなどのフォローが必要になります。
どちらにしてもある程度の手間がかかってしまいますから、十分に検討してください。
また、数が多いために複数名で翻訳を行うことになった場合も、注意が必要です。
人によって用語や表現の訳し方に差異が生まれてしまうため、その用語が同じ内容を指しているのか別の物を指しているのかが、読み手からすると判別できなくなってしまいます。
複数名での翻訳を行うには、事前に各表現について一定の取り決めを行ったうえで、全ての翻訳された文章を照らし合わせ、表現のゆらぎをなくす作業が必要になるでしょう。
3. 翻訳会社に依頼した際の費用対効果
現在、海外で事業展開している企業では、このような翻訳の問題は、どう解決しているのでしょうか?
一般的には、外部の翻訳会社に依頼することも多いようです。
必要となる翻訳作業を自社で全て行うには、様々な準備と膨大な作業時間が必要です。
またビジネスにおける翻訳では、ひとつつのミスが思わぬトラブルに発展する例もあるため、何重にも確認を重ねる必要があるでしょう。
これらの作業の人的コストを考えた場合、外部に委託した方が、費用対効果は高いといえます。
4. 海外進出・事業拡大のチャンスのために
一口に翻訳会社といっても、企業によってサービスは様々です。
実際に依頼を検討する場合は、まず各企業に対して見積書を依頼し、比較検討してみてください。
まず、翻訳会社のホームページを見ると、会社ごとの「得意分野」が記載されているはずです。
翻訳を依頼したい書類のなかで、専門的な業界用語の翻訳が必要な場合には、その分野をメインに扱う翻訳会社を選定し、さらに絞り込んでいったほうがよいでしょう。
反対に、原文に独特な用語が盛り込まれていなければ、金融分野や法律関係などに強い翻訳会社に依頼したほうが賢明です。
そうして、複数の翻訳会社に見積もりを依頼すると、各社の納品可能な納期や発生する費用がわかり、それ以外にどのようなサービスを受けられるのかも把握できます。
翻訳にかける予算等にも関わってくる部分ですから、内容をじっくりと吟味し、依頼したい内容に対して最も適切な企業に、正式な依頼を発注しましょう。
海外進出というのは、企業にとってはまたとない事業拡大のチャンスです。
無用なリスクを背負わないためにも、必要な翻訳作業はプロの翻訳会社にお任せください。
お見積もりは無料です。お気軽に翻訳会社JOHOまでお問い合わせください。