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国際的売買条約と英語翻訳

2017年03月27日

国際的な売買条約と英語翻訳

人は商品を売買し、金銭を使って生活資源を手に入れることで生活しています。
これは国内に限らず、他国との間でも行われます。輸出と輸入、つまり貿易です。
特に日本という国は他国との貿易が盛んで、財務省の統計調査によれば、2015年の日本の輸出入総額は154兆円。なかなかに天文学的数字です。それだけ日本は貿易大国だといえます。
商品を売買する際には、売主と買主の間で契約を結ぶことで、売買成立後のトラブルに備えます。これは他国との貿易でも同様です。
しかし、貿易の場合は違う国の人あるいは企業などが、売主と買主と契約を結びます。この場合、国内での売買とは異なる、ある問題が発生します。
その問題とはどういったものなのでしょうか。そして、その問題はどのように解決するのでしょうか?

1.貿易の契約における法的問題とは

人は物を手に入れる場合、金銭を支払うことで引き換えに物を手に入れます。これはスーパーやコンビニなどで買い物をする場合から、家など大きな買い物まで同じです。
ただ、大きな買い物になれば契約書を交わす場合があります。
たとえば不動産だと、中古の家を購入する場合、元の持ち主が売主、購入する人が買主になり、ここで売買契約書が必要となります。
売買契約書には家を売買する際の売主、買主に対する決まり事が細かく記されています。契約書の内容に売主と買主の双方が同意することで契約が結ばれ、家の売買が成立します。
もしも売買においてトラブルが発生すると、契約書に定められた契約内容に則って対処します。
かといって、契約書であればいかなる内容でも構わない、というわけではありません。契約書は法律に従って、法律の定める範囲内で作成しなければならないのです。
では、貿易の場合を考えてみましょう。貿易でも細かい内容の契約が交わされますが、契約のベースとなる法律は、もちろん国によって異なります。
そのため、契約を交わす場合に、どちらの国の法律をベースにするのか。あるいは双方の国の法律をもとにするのか、一部だけ変えるのか……など課題は多く、そう簡単に契約を交わすことはできません。
他国の企業と貿易を行う際には、こんな問題が起こりうるのです。

2. ハーグ統一売買法条約の誕生

貿易の契約時に、各国の法律が違うことでトラブルが発生する可能性が高いため、ある条約が作られました。それは「ハーグ統一売買法条約」です。
これは国際的な売買が行われる場合に売主と買主の権利を規定するものです。
貿易を行う際、双方が自国の法律を基準にしてしまうと、契約内容について収拾がつかなくなってしまうことがあります。そこで、貿易の場合のみ用いられる、世界共通の条約として作られました。
ただし、「世界共通」とはいえ、各国の了承もなく適用できません。そのため、加盟した国のみで適用されるようになっていますが、当時の加盟国はベルギーやイタリア、イギリス、オランダなど9カ国に留まりました。
この原因は、ハーグ統一売買法条約が複雑であり内容に不明瞭な部分があったため、そして大陸法(civil law)を基準としているため、英米法(common law)とはかけ離れてしまっていたためでした。
このような部分に批判が集まり、日本をはじめ多くの国では適用されることはありませんでした。

3. ウィーン売買条約へ引き継がれる

ハーグ統一売買法条約は9カ国の加盟に留まりましたが、やはり貿易において統一的な条約がなければトラブルが発生してしまいます。
そこで新たに発効されたのが「ウィーン売買条約」です。これもハーグ統一売買法条約と同様に、国際取引における法を統一するための条約です。
ハーグ統一売買法条約が大陸法を基準としていたのに対し、ウィーン売買条約は大陸法と英米法を融合させた内容になっているため、2017年3月時点で、ハーグ統一売買法条約を大きく上回る85カ国が加盟しています。
日本でも2008年に加入、2009年に発効されました。
ウィーン売買条約は加盟国の場合に適用されますが、加盟国と加盟していない国で貿易が行われる場合も、適用されないわけではありません。
たとえば加盟国の日本と、加盟していないイギリスとの貿易の場合、契約の際に日本の法律に従う旨が示されていれば、加盟国が基準となりウィーン売買条約が適用されることになります。
また、加盟国同士であっても、契約時にウィーン売買条約を適用しない旨が示されていれば、適用されなくなります。
つまり、任意で使うことができる条約なのです。
このように、貿易においてトラブルを解決するウィーン売買条約が作られましたが、ハーグ統一売買法条約自体がなくなったわけではなく、まだ一部の国においては効力を発揮しています。

4. 貿易に関する契約書の翻訳

貿易は自国の利益を優先するため、不利な条件での契約を持ち出される可能性もあります。
こういった場合に、ウィーン売買条約を基準として自国にとって不利な条件を回避できるなど、様々な使い方ができます。
ところが、ウィーン売買条約は日本の法律とは違った内容が定められているため、取り扱いに注意が必要となります。
前述した通り、ウィーン売買条約を適用するかしないかは双方の任意であるため、そういった部分も契約書に盛り込まなければなりません。貿易における契約書は、相手国の言語に翻訳しなければ効果を発揮しませんが、翻訳する際にウィーン売買条約の取り扱いに関する部分が正確でなければ、後々トラブルを発生させることにも繋がりますし、自国の企業が不利な条件で契約を結んでしまう可能性もあります。

また、ウィーン条約は国連の公用語6カ国語(英語・フランス語・ロシア語・スペイン語・中国語・アラビア語)で作られており、なかでも世界で最も使われている英語での翻訳は欠かせないでしょう。
英語をはじめとする世界の言語で、ウィーン条約も含めて売買条約を正確に翻訳し、把握すること。国際的な売買には、そんなプロの翻訳が必要ではないでしょうか。

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