映像翻訳は身近なもの
映像翻訳は制作会社との連携が重要
翻訳家の仕事のひとつは、言語を変換することではありますが、「翻訳家」であればどんなジャンルの翻訳も可能、というわけではありません。
たとえば、映像翻訳という翻訳ジャンルがあります。私にとって身近な映像翻訳といえば、映画の字幕が挙げられます。この字幕を作る翻訳者は、主に映像翻訳という分野の専門家です。
翻訳はジャンルによって、独自の作業工程が存在し、さらに作業内容が細分化されます。
では、映像翻訳とはどのような工程で行われるのでしょうか?
1. 映像翻訳は主に字幕や吹き替えを作る
翻訳という仕事には様々な分野がありますが、契約書の翻訳や医療関係の書類の翻訳などは、翻訳の専門家でもないかぎり、なかなか馴染みはありません。
しかし、きっと映像翻訳は多くの人にとって馴染み深いものでしょう。映像翻訳とは、海外映画やドラマの字幕を作るという分野です。
この字幕や吹き替えの作成という映像翻訳は、もしかしたら「英語を聴き取ることができれば簡単なのでは?」と感じる人もいるかもしれません。ところが他の翻訳ジャンルと同じように、映像翻訳も専門知識は独自の技術を必要とするものです。
特に字幕作成は難しいといわれています。たとえば、映画を観ていると俳優が長い時間セリフをしゃべっているにもかかわらず、字幕は非常に短いというケースが多々あります。
実は、映画内でしゃべっているセリフを全て直訳してしまうと、字幕の量が膨大になってしまうのです。それは一度に表示すると画面の大半が文字で埋められてしまうほどの量で、画面が文字で埋め尽くされてしまっては映像を楽しむこともできませんし、まず字幕を全て読むことができないでしょう。
1秒間のセリフに最適な字幕は3文字だといわれているので、この目安に沿って、文字数に収めつつも意味が通る字幕を作らなければいけません。
また、吹き替えにも独特の難しさがあります。観客が文字を読むわけではないので、字幕のようにセリフの文字数を気にする必要はありません。
しかし、役者の口の動きと、しゃべっている時間に合わせたセリフを作らなければならないのです。
2. 事前の打ち合わせによって世界観を守る
映画において字幕や吹き替えを作る際には、主に意訳が使われます。これは、観ている人が簡単に字幕を読めるようにするためですが、もうひとつ理由があります。それは、映画の世界観を守るためです。
映画の登場人物には、それぞれのキャラクターがあります。そのキャラクターは見た目やしぐさだけでなく、口調にも表れます。
もし、字幕を直訳で作ってしまった場合、字幕からそのキャラクターの特徴を捉えることができなくなり、ひいては映画全体の世界観を壊すことにもつながります。字幕も映画作品の一部なのです。
その意味では、映像翻訳に関しては知識だけでなく、映像に関する「感性」も必要となることが、他の翻訳と最も異なるところでしょう。
しかし、どれだけ翻訳家の感性が素晴らしいものであっても、その完成だけで質の高い字幕が生まれるということでもありません。
映像翻訳で最も重視されるのは、事前の打ち合わせです。映画は観るお客さんを大切するために、制作会社はお客さんが見えない部分までこだわって作られています。その制作会社と翻訳会社が何の打ち合わせも行わず、ただ依頼のあった作品のセリフをそのまま翻訳し、字幕を作成すると、制作会社が意図する世界観とは違った字幕になってしまう恐れがあります。
そうしたトラブルを防ぐためにも、映像翻訳においては、制作会社と翻訳会社の間で、何度も綿密なミーティングが行われるのです。
3. 誤字脱字だけではない完成後のチェック
映像翻訳は作業に取り掛かる前の打ち合わせによって、字幕の質を向上させます。しかし、事前の打ち合わせだけでなく、作業後のチェックにも力を入れなければなりません。
まずチェックすべきは誤字脱字です。これは映像翻訳に限ったことではなく、文章を取り扱う場合には必ずチェックすべき項目です。
先ほども話したように、字幕は映画の一部であり、世界観を左右するものでもあります。そのため誤字脱字は絶対にあってはいけません。
また、事前に入念な打ち合わせを行っていても、いざ実際に字幕を作ってみると制作会社の意図、あるいは作品の内容とズレてしまうことはあります。そのようなズレをチェックすることも大切です。
しかし、映像翻訳のチェックは難しいものです。映像翻訳では意訳が多用され、なかには直訳とは大きく異なった意訳が使われることもあります。しかし、これはセリフの内容を場面に適応する形で伝える技術でもあり、また字幕の文字数制限によるものなど、理由は様々です。
いずれにせよ、出来上がった字幕翻訳をチェックする際に、観た人がどう感じるのか……。
映像翻訳のチェックは、ただ単に誤字脱字や表現の間違いだけをチェックすればよい、というものではありません
4. 翻訳会社で作る映像翻訳チーム
映像翻訳は翻訳者だけで行うものではありません。翻訳物のチェックを行う人はもちろん、字幕=セリフの演出を行う人なども必要になるケースもあります。
さらに、制作会社との打ち合わせや翻訳のスケジュール管理なども重要です。ひとつの映像作品には、想像もつかないほど多くの人が関わるのです。
これだけ多くのスタッフが関わる仕事においては、翻訳コーディネーターの存在が大きなポイントとなります。映像翻訳というジャンルには、字幕翻訳コーディネーターもしくは映像翻訳コーディネーターという専門家もいます。
字幕翻訳コーディネーターは、翻訳する作品を見たうえで必要な人を招集してチームを作り、スケジュールを立て、チームを動かしながら字幕を作成します。
翻訳会社のなかには、この字幕翻訳コーディネーターがいるところもあり、ひとつの翻訳会社ないで字幕翻訳チームを作ることが可能な会社もあります。全て翻訳会社に任せることで、高品質な字幕がスピーディーに作成されるというメリットもあるのです。
映像翻訳が必要になった場合は、経験豊富な翻訳会社にご相談ください。きっと映像作品の魅力が、さらに増すでしょう。
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