法律分野翻訳に求められる専門性と正確さ
翻訳会社では、法律分野の翻訳も数多く行っています。
なかでも多いのは、契約書、特許、そして訴訟に関する文書の翻訳ではないでしょうか。
世界で最も使われている言語は英語なので、法律分野でも必然と英語から日本語へ、日本語から英語への翻訳が多くなりますが、そこで問われるのは法律の専門知識と「正確さ」です。
その理由は主に次のとおりです。
・法律英語には専門用語と独特の言い回しが多い
・正確な翻訳でないとビジネスの契約に至らない
・法的効力を持つ文章はトラブルの原因となりやすい
1. 法律英語には専門用語と独特の言い回しが多い
六法全書を読むと日本の法律は一部、とても難しい文体で書かれています。
日本の法律の多くは、戦前に作られたものが多いことも関係していると思いますが、そのため一般の人が読んでも「難しい」と感じてしまうのは事実でしょう。
一方、英語で書かれた法律分野の文章は、比較的平易な文法が使われています。これは、誰が読んでも理解できるものでなければ、法律として成り立たないからという理由もあるようです。
とはいえ、やはり用語や言い回しには法律分野独特のものもあり、その翻訳には高い英語能力と法律に関する専門性が問われます。
参考までに、法律分野の翻訳について便利なサイトをご紹介します。
日本法令外国語訳データベースシステム/Japanese Law Translation
http://www.japaneselawtranslation.go.jp/
これは日本の法務省が管理しているサイトで、日本の法令を世界へ発信するために作られたそうです。
全ての翻訳が「公定訳」ではないという注意書きはありますが、「法令検索」「辞書検索」「文脈検索」の3種類の方法で、キーワード検索を行うことができます。
たとえば法令検索で「特許」というキーワードを検索すると、特許に関する法律がいくつも表示されます。そのリンク先へ行くと、法令の日本語原文と英訳がわかりやすいよう、並んで表示される仕組みになっています。
掲載されているデータの引用、複製、転載についても、「利用規約に従い、引用し、複製又は転載して差し支えありません」と書かれています。法律分野の英語翻訳を行う場合は、利用規約をよく読んでから、必要に応じて利用してみてはいかがでしょうか。
2. 正確な翻訳でないとビジネスの契約に至らない
よく欧米は「契約社会」と言われます。海外企業とビジネスを行う場合は、どんな内容の契約であれ、「ここまで書くのか!」と思うほど、微に入り細に入り契約書に記されます。
もちろん書かれている項目に、ひとつでも間違いがあったり、違反したりすれば契約には至らないことがほとんど。それが契約社会にある海外企業とのビジネスなのです。
契約書の英語翻訳には何より「正確さ」が求められます。日本のみならず海外の法律も正確に踏まえた契約書でなければ認められません。
そのため、やはり高い英語能力と法律分野の専門知識を持ったプロフェッショナルの翻訳が必要となるでしょう。さらに翻訳されたものを何重にもチェックする体制も必要です。
翻訳会社をお探しの場合は、法律分野の翻訳の経験が豊富か、またネイティブや専門家によるチェックが行われるかどうかも、翻訳会社選びのポイントになるでしょう。
3. 法的効力を持つ文章はトラブルの原因となりやすい
契約書はもちろん、他の法的効力を持つ文章で正確さが欠けていると、後々トラブルが発生する要因ともなります。
たとえば、日本製品を海外へ輸出する場合はどうかといえば、日本製品の取扱説明書にまつわるトラブルが発生しているようです。その原因の多くは、日本語の原文をそのまま英訳しただけの取扱説明書があるため、という声を聞きます。
取扱説明書は、あくまでユーザーが理解しやすいように書かれていなければいけません。それは先にご紹介した「法律=誰が読んでもわかりやすい文法で書かれている」ことと同じではないでしょうか。そこで日本の環境に合わせて作られた取扱説明書を、そのまま翻訳して輸出しても、環境が異なる海外では通用せず、トラブルに発生してしまうのです。
基本的に日本でも海外でも、取扱説明書の表記方法に不備があったために被害が生じたときは、法的責任を問われる可能性があります。
そのようなトラブルを避けるためにも、法的効力を持つ文章には、プロによる翻訳が必要なのです。
4. 公的機関に翻訳文章を提出する場合は……
翻訳物を政府機関、行政機関といった公的機関に提出する場合は、翻訳物に「翻訳証明書」を添付しなければならない場合があります。
たとえば海外旅行のためにビザを取得するには、大使館へ戸籍謄本などの公的証明書の原本と、その翻訳物を提出ことが義務づけられているケース。あるいは海外留学のため日本の学校の成績証明書や卒業証明書を翻訳して提出する、など……。
特に、提出書類のなかに「Certified Translation」という文字が含まれていたら、それは「翻訳証明書」を求められているということです。
「翻訳証明書」とは、提出された文章が、プロフェッショナルの手によって翻訳されたことを証明する書類のことです。日本では翻訳を依頼した翻訳会社に、翻訳証明書を発行してもらうことになります。
もちろん、その会社が翻訳していないものについて翻訳証明書を発行することはできませんし、翻訳証明書のみの依頼というのも受けつけていません。
ひとつ間違うとトラブルが発生し、訴訟問題にまで発展しかねないのが、法律分野もしくは法的効力を持つ文書の翻訳ですので、やはりプロの手が必要となります。
一方、公的書類の提出に際して翻訳証明書ではなく、外務省の証明である「公印確認」(公文書上に押印されている公印に関する証明)や「アポスティーユ」(ハーグ条約に基づく、付箋=アポスティーユによる証明)を求められるケースもあります。
海外旅行や海外留学をはじめとする外国での各種手続きは、まず大使館や領事館などに提出書類を確認してください。そして翻訳物と翻訳証明書が必要となれば、ぜひ翻訳会社へご依頼ください。
お見積もりは無料です。お気軽に翻訳会社JOHOまでお問い合わせください。